翻訳は平面で、通訳は立体だと思います。
つまり、翻訳は、一字一句を正確に別の言語に置き換えて行きますが、通訳は、一旦言わんとすることを通訳者の頭の中に入れてから、別の言語で表現します。
私が以前、通訳・翻訳業務の派遣社員として外資系企業で働いていたときに、他の人が訳したものを訳漏れがないかチェックしてと言われました。そこで、原文の日本語と、英訳の文書を比べて行きましたが、一字一句マッチしないのです。言葉の順番もめちゃくちゃです。なので、目が大変疲れました。
英語のテキストとCDが書店に売っていますが、そういった英語の学習本の中の英文と日本語訳のように、英語と日本語が順番も同じで一字一句英日が対応している文章とは大違いだったのです。
何年も経ってから、その時に訳した人はどうしてそんな訳をしたのかがわかりました。それは、彼女は通訳者だったからです。上記に書きましたように、通訳は一度自分の頭で理解してから、別の言語で訳を言います。そのため、順番もバラバラになった訳を彼女は書いたのです。
私も今では翻訳をするとき、まず自分の頭で理解してから、よりお客さんがわかりやすい順番や表現で訳を作ります。
では、結局、通訳と翻訳の違いとは何かといえば、通訳は一度理解してから訳を自分の言葉で言いますが、翻訳は理解しないでも言葉を一字一句置き換えて行く機械的な作業だということです。
逆に、通訳を離れ業のようなスゴイスキルだと思う人が多いですが、それは、通訳も翻訳のようー時一句置き換えてやっていると思うからでしょう。
一字一句なんて訳していたら通訳は時間が足りないですし、どんなにメモを取りのスキルを磨いて記号を使ってメモしてもとても覚えていられません。
通訳は、ガバっとまず自分が理解してから、別の言語で訳を言う作業です。
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